仙台城跡・るーぷる仙台
バリアフリー調査報告書

特定非営利活動法人仙台バリアフリーツアーセンター
障害者の移動と社会参加を広げる会

調査実施:2018年12月5日-6日 | 報告書作成:2019年3月

調査にあたり

全国に誇る仙台の観光地仙台城跡。当センターにも全国から車いすで伊達政宗公騎馬像の見学を望まれる方からアクセスの相談が寄せられています。

しかしながら仙台市観光路線巡回バスるーぷる仙台では仙台城跡のバス停での乗降が難しいことにより、タクシー(場合によっては介護タクシーの事前予約)での観光をご案内しておりますが、駅と城跡間の送迎料金だけでも往復数千円ほどかかるなど、1回乗車260円のるーぷると比べると金銭的負担が大きいのが現状です。

また、るーぷる沿線の観光施設へのアクセスも高齢の方や障害がある方等にとっては難しい箇所が多いという情報が寄せられており、この度当センターでは、障害者の移動と社会参加を広げる会様のご協力を得て仙台城跡およびるーぷる仙台バス停のバリアフリー調査を実施いたしました。

来年に迫った東京オリンピック・パラリンピックでは仙台にも多くの観光客が訪れることが見込まれます。この報告書が今後の仙台市のバリアフリー観光施策推進の一助になれば幸甚です。

調査概要

2018年12月5日および6日の2日間にわたり、仙台城跡とるーぷる仙台の各バス停について、車いす利用者の視点からバリアフリー状況を調査しました。

調査日時

平成30年12月5日および6日
午前10時~午後3時

調査箇所

仙台城跡、るーぷる仙台バス停16箇所
(市街地の②⑭⑮⑯は対象外)

調査方法

  • 仙台城跡:敷地内調査(本丸会館、護国神社除く)
  • バス停:バス停から観光施設までの導線調査
るーぷる仙台ルート図

仙台城跡南バス停

仙台城跡への主要アクセスポイント

調査写真
位置図

調査結果

  • 市街方面・八木山方面ともに乗降可能
  • スロープ傾斜は適度で電動車いすでの利用が可能
  • 仙台城跡入口には段差なし
  • バス停から仙台城跡までは歩道がなくカーブも多いため注意を要する

駐車場~伊達政宗公騎馬像前

仙台城跡内の主要観光エリア

調査写真
位置図

調査結果

  • 赤い橋手前に段差あり。車道を迂回して駐車場へアクセス可能
  • 駐車場には身体障害者用スペースがない
  • 大型バス駐車場からトイレまでアクセス可能
  • バス駐車場側トイレは鍵がかけにくく、手洗い器の鏡が高い
  • 東屋へのアクセスにスロープが必要
  • 騎馬像まではスムーズにアクセス可能

仙台城見聞館

城の歴史を学べる展示施設

調査写真
位置図

調査結果

  • 敷地内の案内板の高さは75cmほどで車いすから見やすい
  • 見聞館入口の傾斜はゆるやかでアクセス良好
  • 展示物の覗き穴の高さが150cmで車いすからは見難い
  • 電動車いすでの見学可能
  • 男性用トイレのスロープはゆるやか
  • 見聞館裏手にスロープがないため、混雑時の車いすでの退館が困難
  • 点字ブロック上にマットが敷設されている
  • 女性用トイレ入口の傾斜が男性用に比べて狭く急

仙台駅前

るーぷる仙台の起点

調査写真
位置図

調査結果

  • 大規模改編及びエレベーター設置工事の影響で階段昇降リフトを利用(工期は2019年度中まで)
  • ペデストリアンデッキからバス停までの移動案内が分かりにくい
  • 昇降機の一階部分での下車時には高さがありスロープを設置するが角度が急で若干危険
  • スロープ: H10cm L40cm、昇降機の耐荷重180kg
  • 乗車時にバス停ではなく違う場所から事前に乗車となる場合あり
  • 利用者本人に行き先等を聞かないで介助者に最初から話しかけることがあった

晩翠草堂前

土井晩翠の旧居跡地

調査写真
位置図

調査結果

  • 仙台駅方面・西公園方面ともにバス停利用可能
  • 横断歩道を通行して晩翠草堂入口へアクセス
  • 全体的に問題なし

瑞鳳殿前

伊達政宗公の霊廟

調査写真
位置図

調査結果

  • バス停はプラットフォームがあり、スロープ角が緩やか(かさ上げプラットフォーム)
  • 表参道は階段まで勾配が急で、手動車いすの場合は数人の助力が必要
  • 参道に点字ブロックなし
  • 参道途中の瑞鳳寺は入り口に段差はなく、境内を散策できる

博物館・国際センター前

仙台市博物館と国際センターへのアクセス

調査写真
位置図

調査結果

  • かさ上げ歩道に下車。バス通りには点字ブロックなし
  • 博物館へ向かう経路には点字ブロックあり
  • 国際センターへの横断歩道、入口周辺の歩行はスムーズ

仙台城跡(バス停)

詰ノ門跡前のバス停

調査写真
位置図

調査結果

  • 詰ノ門跡前は階段のみでアクセス不可
  • かさ上げなしの乗降のため利用が困難
  • 仙台城跡構内からバス停を望むことが可能

青葉山植物園西

東北大学植物園へのアクセス

調査写真
位置図

調査結果

  • かさ上げあり歩道に降車可能
  • 植物園ゲートは車いすでは通過不可。遊歩道は段差があり、車いすでの園内移動はできない
  • バス停からの歩道については点字ブロックあり
  • 歩道から券売所(デイリーヤマザキ)、青葉山ゲートへは点字ブロックなし
  • 道路を横断する際に2.5cmの段差あり(両側)
  • デイリーヤマザキから青葉山ゲートへは下り坂(自走不可)
  • バス停付近に「こもれびカフェ」があり、車いすでの利用が可能

青葉山駅

地下鉄東西線との接続駅

調査写真
位置図

調査結果

  • バス停より約20m手前に横付けし降車となった
  • 青葉山駅までは上り坂であるが問題なく移動できた
  • 地下鉄駅に連結するので多くの利用が見込まれるため、乗降位置に屋根があるとより使いやすい
  • 青葉山駅バス停は縁石・歩道がなく、調査時はバスもニーリングしなかったため、降車時のスロープ角がかなり急になった
  • ワンステップバス、縁石・歩道なし、ニーリングなしがそろうとバリアになりかねない

理学部自然史標本館前

東北大学の自然史博物館

調査写真
位置図

調査結果

  • バス停からの歩道に点字ブロックあり
  • 歩道から自然史標本館へは点字ブロックなし
  • 上り坂であるが問題なく移動できた
  • 自然史標本館は段差がなく、エレベーター、多目的トイレを備えているので車いすでの入館が可能

国際センター・宮城県美術館前

美術館へのアクセス

調査写真
位置図

調査結果

  • かさ上げ歩道にスロープ敷設
  • 美術館への歩道は上り坂
  • 横断歩道を渡るとさらに上り坂で美術館入口へ
  • バス停を南進すると地下鉄東西線国際センター駅

交通公園・三居沢水力発電所前

歴史ある水力発電所

調査写真
位置図

調査結果

  • かさ上げ歩道にスロープ敷設
  • バス停から水力発電所、交通公園まで約300m
  • 交通公園入口まで上り傾斜あり
  • 三居澤大聖不動堂までは舗装されている
  • 交通公園入口は砂利道

大崎八幡宮前

国宝指定の神社

調査写真
位置図

調査結果

  • かさ上げ歩道にスロープ敷設
  • 境内前に階段。神殿までは別ルートから車でアクセス可能

二高・宮城県美術館前

宮城県美術館へのアクセス(市街地側)

調査写真
位置図

調査結果

  • かさ上げ歩道バス停
  • 美術館への横断歩道は上り坂
  • 横断歩道通行後も上り坂が続く
  • 美術館側からバス停方面を望むことが可能

調査総括

① 仙台城跡について

今回の調査の第一の目的である、車いすの方が低廉な料金で伊達政宗公騎馬像を観光するということについては、るーぷる仙台の本丸会館前までの乗り入れを期待します。現状としましては、地下鉄東西線青葉山駅もしくは八木山動物公園駅から市営バスに乗車し仙台城跡南バス停にて下車、徒歩で仙台城跡を訪れるというコースを観光課からご教示いただきましたので、当センターとして観光客に周知していきます。

仙台城跡敷地内については東屋のバリアフリー化、仙台城見聞館裏手の女性用トイレのアクセスに改善を要します。今回は本丸会館、護国神社は調査対象外でしたが、敷地内における政宗公騎馬像へのアクセスは良好でした。

② るーぷる仙台について

仙台城跡のバス停で下車できないのは残念でしたが、バス停名が付けられた観光施設へのアクセスは瑞鳳殿、大崎八幡宮を除いて可能でした。この2箇所については自動車で施設至近までアクセスできますが、今回は公共交通機関でのアクセス調査ということでルートは割愛しております。

今回の調査で印象強かったのは車両やバス停のハード面以上に、乗務員の接遇等のソフト面でした。例えば乗車した観光客へのおもてなしを感じた乗務員がいらっしゃる一方で、挨拶も乏しい乗務員もいました。車いすの乗降サポートについても、スロープの敷設や車いす席でのベルト設置等の手順を覚えていなかったり、乗客への声がけなしに介助をしようとするなど要研修の乗務員もいました。

③ 総括

総括しますと、上記の通りハード面以上にソフト面の改善が求められます。当センターは高齢や障害のあるお客様を主な対象にしておりますが、障害があるからということではなく、一市民、観光客としての対応が求められます。

今後も仙台市の顔として市民、観光客に親しまれるような公共交通機関であることをご期待申し上げるとともに、高齢や障害のある方の合理的配慮に一層のご協力をお願いしたく存じます。