アクアイグニス仙台
バリアフリー調査報告書

特定非営利活動法人仙台バリアフリーツアーセンター

調査実施:2022年3月11日 | 報告書作成:2022年3月28日

調査概要

名称
アクアイグニス仙台
場所
仙台市若林区藤塚字松の西33-3
期間
令和4年3月11日
報告者
特定非営利活動法人仙台バリアフリーツアーセンター 岩城一美
備考
株式会社旅日記 小林陽一 同行
調査目的

仙台reborn株式会社「アクアイグニス仙台」温浴施設について、障害者の視点から施設内のバリアフリー状況を調査し、改善策および解決策を提案することを目的としています。

依頼箇所の改善策およびその他の改善、改修、解決策のご提案を行い、より多くの方が快適に利用できる施設を目指します。

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車椅子駐車場
車椅子駐車場の様子 駐車場の斜線 駐車場全景
現状の課題

写真からわかるように片側しか斜線がない。車椅子利用者は助手席にも乗車しているという認識が必要。

改善策提案【1】

両側に斜線があることにより、他の利用者の車両との接触事故を防止するためにも車椅子利用者が安全に乗降するために十分な広さを確保する。

改善策提案【2】

不正利用防止の取り組みとして、広い区間を必要としない人が駐車してしまわないように明確に看板や表示を設置している事例もある。

参考資料① 参照
2
入り口へのアプローチ(多方面からの通路)
入り口アプローチ 点字ブロック 入り口の幅 アプローチ全景

建築物移動円滑化誘導基準の望ましい屋外での基準(幅150以上 勾配1/5)を十分に満たしている。

点字ブロックも入り口、エレベーターまでの誘導がされていることから、1Fの入り口まで利用者は目的とされる2Fへのエントランス入り口まで到達できる。

入り口も150以上と建築物移動円滑化誘導基準を満たしている。

改善策提案【1】補助犬受け入れ表示

補助犬を受け入れるとヒアリングでお聞きしました。1F入り口など、わかりやすい場所に提示することにより、同伴啓発につながる。

また、補助犬を受け入れるという事は、野外に補助犬の排泄スペースを設けることを検討する。

参考資料① 補助犬マーク
参考資料② 補助犬排泄スペース
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1Fエレベーターについて
エレベーター外観 操作盤 鏡の設置 エレベーター内部

障害者(以下法律による総称とする)の利用にあたり車椅子使用者対応の主操作盤が車椅子使用者の手の届く範囲を考慮し設置してあり、インターホン設備を設けてある。

車椅子利用者が籠の中で回転しなくても戸の開閉状況確認用鏡が設けられている。

鏡の形状と設置位置が車椅子利用者がバックで出る時、出入り口やまわりの人や床が見えやすい。

上部にカメラがあり、籠内に、緊急時等に情報提供や誘導案内等を行う表示設置が設けてある。上部のカメラからの映像が映し出される事により、籠に乗っている人の安全性が保たれている。

4
エントランス入り口
エントランス 点字ブロック終点 エントランス全景
課題

施設に入った時点で点字ブロックが終了していてカウンターまでの誘導ができない状態となります。

白杖を利用しても、エントランスが広すぎて壁伝いに歩いてもカウンターが右にあるのか左にあるのか視覚障害の視点からは初めて訪れる場所なのでシミュレーションができない事案が発生します。

解決策提案【1】マンパワー対応

マンパワーで解決するのか。これは運営側スタッフがいち早く気付き誘導する。誰もが対応できるようマニュアルが必要であり、障害者に対しての教育が必要になる。

改善策提案【2】案内設備の設置

【1】の解決策提案の声掛けなどをスムーズにするためにも視覚障害者誘導ブロックが終わる所に、点字、音声案内等による案内板(文字等の浮き彫り、音による案内)を配置する。

インターホンを視覚障害者にとっては案内版を探すことは困難であり、できる限りわかりやすい位置に設置する事が望ましい。

改善策提案【3】床材の工夫

点字ブロックだけが誘導という概念ではなく、足裏や白杖で床の素材の違いで確かめることができるという認識を持ち、素材の違う床材やカーペットなどを利用してみる手法。

参考資料① 案内板
参考資料② 床材の違いによる誘導
5
受付カウンター
受付カウンター カウンター高さ カウンター周辺
6
券売機
券売機 券売機操作部 券売機周辺 券売機全景
7
館内サイン
館内サイン 案内表示 サイン全景
8
廊下・通路
廊下 通路幅 通路の様子 通路全景 通路詳細
9
ロッカー
ロッカー ロッカー高さ ロッカー周辺 ロッカー全景
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多目的トイレ
多目的トイレ入口 便座 緊急通報ボタン トイレ全景

1) ピクトグラム

改善策提案【1】

全ての利用者の視点から、周りの壁の色を同調し、トイレがあるとわかりづらい。ヒアリング等、事業者側で利用できる色が限られている説明の中で「青」となることから、色をつける事が望ましい。

2) 便座背もたれについて

改善策提案【2】

利用者の利用時負担軽減のために便座背もたれ部分に参考資料①②③のようなクッションタイプの背もたれがあるとよい。

参考資料①②③ クッション型背もたれ

3) 緊急通報ボタンについて

改善策提案【1】

緊急速報ボタンは参考資料①のようにループや、ひもをつけたものとするのが望ましい。

4) ベビーベッドについて

改善・改修提案【1】

ベビーベッドの利用は3歳未満までの使用制限がある事が多く、幼児(4歳以上)は利用できない。(体重制限もある)まだまだオムツを利用する幼児もいる。

また障害がある大人(高齢者)も利用する場所がアクアイグニス仙台にはないので、対策としては左の写真のようにユニバーサルシートが設置できるとよい。跳ね上げ式タイプ

参考資料① ユニバーサルシート
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貸し切り風呂

1) 入り口「脱衣所」

脱衣所入口
課題

この写真から見て取れることは鍵の形状から入浴中か空きが視認化できない

改善策提案【1】

貸切風呂プレート下に「利用中」などのプレートが設置できると、利用者に対しての情報提供ができる。

2) 洗面台

洗面台 洗面台下部
課題

写真の通り、車椅子利用時(シャワーチェア等はもっと届かない)水道蛇口に全く手が届かない。

洗面台下が空洞化しておらず、フットレストによりこれ以上前に進むことは不可能である。

改善・改修対策【1】

この事案は解決が必要であり、改善策として扉を排除し下の巾木も取り払うことにより、写真のような形状になる。

大浴場の洗面台が理想的な形状である。

参考資料①② 改修後の洗面台

5) 鍵の位置

鍵の位置
課題

外からスタッフが施錠するようになるのか、鍵の位置が高く届かない。

改善・改修策提案【1】

この位置にあると好ましく、また外からも解錠できる利用しやすい鍵がよい。

参考資料①② 適切な鍵の位置
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貸し切り風呂「浴室内」

1) シャワーノズル位置

シャワーノズル
課題

現状だとシャワーチェア利用時の場合、シャワーヘッドに手が届かない。

改善・解決策の提案【1】

○の部分にもう一つノズルかけの追加をすることにより、シャワーチェア利用の場合、空きやすい高さになる。

2) 浴槽手すりの位置

浴槽手すり 浴槽周辺
課題

浴槽の高さはシャワーチェアと同じ高さにしたとヒアリングでお伺いした通り、移乗する際にちょうどいいのですが、移乗する際、この青色線の部分に手を付き以上すると滑る危険性がある。

改善・改修策として【1】

参考資料のような手すりを青色部分に取り付けることにより、車椅子だけに限らず、浴槽内の段差部分に座れる方が利用するのにも安全性がある。

参考資料① 浴槽手すり
改善策提案【2】

浴槽周りの手すりの位置は歩ける方にとっては利用しやすい位置にあり、危険防止になっている。

障害など歩けない方が利用するのは高すぎるので、タイル一枚下あたりにもう一段取り付けられるとより安全性が高まる。

3) 緊急通報ボタン

緊急通報ボタン
改善策提案

脱衣所、浴室内でも転倒の危険性があり、写真のようなひも付き緊急通報ボタンを、転倒した時にも届くように壁側面の低い位置に設置することが望ましい。

参考資料① ひも付き緊急通報ボタン
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シャワーチェア
シャワーチェア シャワーチェア詳細 シャワーチェア使用 シャワーチェア周辺 シャワーチェア全景
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露天風呂
露天風呂 露天風呂入口 露天風呂浴槽 露天風呂周辺 露天風呂全景
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大浴場
大浴場ロッカー 大浴場洗面台 大浴場浴槽 大浴場シャワー 大浴場全景

どの利用者も利用できるのかをシミュレーションした場合

1) ロッカー、洗面台、シャワーの箇所(1箇所入り口からの楽な導線上に広い場所があり、二人でも利用しやすい)は利用しやすいものである。

2) 介助者がいればシャワーチェアでの入浴可か。

3) 視覚障害者が利用する場合、施設側での対応をどこまでするか。

4) 膝の悪い方などが着替えをする場合の椅子の確保はどうするか。

改善・解決策案【1】1)、2)、3)、4)に対する対策

運営側でのスタッフの教育が必須になり、どのスタッフも対応できるようにマニュアル化する。

それが困難な場合はホームページなどで、出来るだけ同伴で来てもらえるように呼び掛ける。

(しかしこの同伴は障害者差別法に反する可能性が大きい)

改善・改修提案【2】2)に対する対策

下記の参考資料①②③を大浴場に設置、または③は持ち運びができるので、その都度設置するとシャワーチェアでも利用可能な場合が出てくる。

参考資料①② 簡易設置・設置型入浴補助具
参考資料③ 持ち運び可能型入浴補助具
改善・解決対策の提案【3】4)に対する対策

写真の参考資料のような長いベンチを設置する。

障害者、高齢者にとって着替えをする場合に手をついたり、座位を保ちやすく、利用しやすいものである

参考資料 長いベンチ
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食事処
食事処 食事処座席 食事処テーブル 食事処全景
17
マルシェ
マルシェ マルシェ通路 マルシェ全景

洗い出された課題点

1) 運営側の体制

運営側のスタッフの障害者への教育、マニュアルはなされているのか「施設内すべてにおいて、1人で利用しにくる障害者はいると認識しておくべき」

2) 館内トイレ

多目的トイレ以外は全て段差になっており、スリッパ履き替えの衛生面等の管理

3) 大浴場などの椅子の衛生面等の管理

共用設備の衛生管理について

4) 貸し切り風呂

貸し切り風呂には給水設置がないので、先にその事を伝えなければならない

5) 温浴施設内の多目的トイレ

温浴施設内にしか多目的トイレはない。1F部分にはない。

6) 補助犬の排泄スペース

補助犬の排泄スペースは確保できているか。

メールにてのご相談の件【貸し切り風呂入浴時間について】

車椅子ユーザーの場合の推奨時間

・着替えから入浴と最低2時間は欲しいところです。

・男性、女性でも変わってきます。

次の方が入浴するまでに換気や、シャワーチェアの掃除、脱衣所の床の水滴拭き取りなど、30分は必要になると考えられます。

温浴施設で気持ちよく入浴してもらうためには【2時間30分】はみて一日の予約を取るのが最善かとおもわれます。

ちなみに参考までにですが、貸し切り風呂の時間は45分から60分の所が多いようです。介助者側からすると、この時間はバタバタとなり、湯に浸かる楽しみより、体を洗うが目的になってしまう可能性があります。

調査にあたりまして

今回の調査にあたりまして、深松組取締役西塚さま、仙台reborn株式会社高橋さま、戸ヶ瀬さまのご案内のもと、ヒアリングも同時に行うことができ、また、建設にあたりまして、深松組さまの想いを知ることができたと共に、共通する改善箇所などについて建設的な対話ができたことに感謝いたします。

またこの調査は評価や批判をするものではなく、アクアグイニス仙台様が掲げているSDGsの持続性を考えた上で、今現在の優先順位はあると思いますが、10年、20年先のスパイラルアップ【利用者の視点で検証し、その結果に基づき新たな施策や措置を講じる事により、段階的、継続的発展を図ることが重要】からの安全性の確認、解決策、改善策の提案であり、また、建設業者様(法令遵守)と運営管理会社様(利用者が快適に過ごせる空間を提供)は違う立ち位置にあるということを再認識していただき、運営管理する温浴施設は多様な利用者がいるという観点から、運営側でマンパワー(これは合理的配慮である)で解決できるのか、解決できないかのどちらが大きいのか、事業者様での改修改善ができるのか、解決方法を導き出し、この先の可変【利用者からの意見、情報蓄積を踏まえた改善点の検討、今後新たな計画企画構想等へのフィードバックを、建て替え改修等の運用に蓄積された課題や情報等の抽出、対応方針の計画を繰り返す意識】できるものなのかを知っていただけるようアドバイザリをさせていただきました。

マンパワー(社員教育)につきましては
  • バリアフリー教室 (東北運輸局等での実施経験あり)
  • ユニバーサルマナー講座

なども実施しておりますので、ぜひご活用ください。

ご承知かとは存じあげますが、制度につきまして、心のバリアフリー認定制度など、複数該当すると思われますのでご不明な点などございましたら、ご遠慮なくお問い合わせ下さい。